やたら「日本は小さくて貧しかった国」と強調したがる外人Youtuber
VisualPolitik EN さんによってうpされたこの動画では、日本とアルゼンチンの経済を比較する内容になっています。
「世界には4つの国しかない。 先進国と途上国、そして日本とアルゼンチンである」という有名な言葉がありますね。
ご存知のとおり、アルゼンチンは先進国から後進国へ転落した国、
そして日本は、逆に先進国へのし上がった国であります。
そんな好対照をなす2つの国を比較するのが、この動画の大筋です。
だがこの動画、明治維新以前の日本に対する説明に問題があります。
近代以前の日本について、あまりにも恣意的かつ不正確な内容がやたらと連呼されています。
日本は「割と大きめの国」である。決して小さくない
動画の中で、何度も日本について「小さな島国」と表現されています。
この外人さんは、よく調べもせずに先入観だけで勝手に日本を「小さな国」認定しますが… もちろん違いますね。
日本は「割と大きい国」です。
もちろんロシア、中国などと比べれば、遥かに小さい国ですが…
それでも、例えばイギリスとかドイツと比べると、日本はけっこう大きな国ですよ。
(参考:https://thetruesize.com/)
ご覧のように日本列島をヨーロッパと比較してみると…
けっこう大きい国土であることがわかりますね。
でもこれは専ら陸地だけ(378,000 km²)を比較したものです。
もしEEZ(排他的経済水域)まで考えると…
日本は、西ヨーロッパのほとんど、中国大陸の半分を覆う「壮大な国」になります。
(日本の陸地+EEZの面積:4,857,318 km²)
日本は「中堅国」であった。貧しくなんかなかった
「貧しくなんかなかった」とまでは言い切れないでしょう。
たしかに飢饉、戦乱等によって日本が貧困に苦しんだ時期が、無かったわけじゃないですね。
(たとえば戦国時代とか、大東亜戦争の終戦直後など)
だけど、この動画で言われたように
「前近代の日本は常に貧しかった」というのも、事実じゃありません。
日本はどちらかといえば、大きめの「中堅国」でした。GDP面でも人口面でも。
明治維新の前の日本は、たしかに一度も「超強大国」だったことはありませんでした。
だからといって「貧しい小国」だったわけでもないんですよ。
明治維新が始まる前から、ほぼ常に世界の人口およびGDPの2~3%を占めてきました。
これは産業革命以前のイギリス(ブリテン諸島だけ)とスペイン(南米植民地込み)を超える数値です。
江戸時代真っ最中の1700年に日本のGDPと人口は、世界の4%にまで達しました。
鎖国中にも関わらず。
「貧しい小国」だったはずの時期においても、日本は世界有数の大国だったのです。
(参考:歴史上の世界各国のGDP、西暦1600年の世界各国の人口 (どちらも英文) )
日本についての間違った情報を垂れ流すな!
あの動画のうp主 VisualPolitik EN さんが、
一体何のつもりでこんな嘘を垂れ流したのかはわかりません。
ひょっとしたら、日本とアルゼンチンをはっきり対比させるための
「劇的な演出」だったかもしれません。
だからといって嘘はダメでしょう!
こんなに根拠もない誤った情報を垂れ流すと、日本に関してあらぬ誤解を招くだけです。
VisualPolitik EN に、この動画における、前近代の日本についての間違った説明を見直すことをおすすめします。